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シリアス編へ
第1話 似た者同志 (風林火山:作)
洋子「う、うーん」←背伸びする
神宮寺「うくくく、くくくく」←背伸びする神宮寺
洋子「くしゅん!」
神宮寺「ハ、ハクション!」
熊野「わははははは」
神宮寺「…?なんだい、熊さん」
熊野「二人ともよう似とるなぁ」
洋子「え?そうですか?」
神宮寺「そうかい?」
熊野「細かい仕草もよう似とるぞ。よくそこまで似たもんじゃぞ。
わしがおらん間に二人でおかしなことやっとるんじゃないだろうなぁ。ははは」
洋子「もう!熊野さんったら!」
神宮寺「よ、よしてくれよ、熊さん。……ハ…ハ、ハクション!」
熊野「わははははは…は…ふぇ、ふぇ、ぶぇ、ぶぇくしょっち!」
神宮寺「………。」
熊野「………。」
洋子「クスクス。熊野さんこそ、私がいない間に先生とヘンなことやってません?」
第2話 無題 (命の時限爆弾さん:作)
ナレーション「新宿歌舞伎町の裏通りには、薄いホワイトがかった色のラブホテルが並んでいる」
洋子「はあ、はあ、先生!」
神宮寺「洋子君!!はあはあ」
洋子「先生!もっと!もっとぉぅっ!」
ナレーション「その中で最も背の高いラブホテル。その一室から時折、叫び声が聞こえる」
神宮寺「熊さん、ううっ!」
熊野「神宮時君、はあはあ。お尻が痛くなってきたよぉ」
洋子「あっ先生ぃ!」
神宮寺「まだまだ行くよ、熊さん!」
熊野「うひぃぃぃいいぃ」
洋子「せんせ…いぃ…」
熊野「……。」
神宮寺「だ、だめだ、うう!」
熊野「誰かが、ワシらのこの会話だけを聞いたら……何をしてるかと思うじゃろうな」
神宮寺「……。」
洋子「熊野さん!しゃべってる余裕があったらもっと力を入れてください」
神宮寺「熊さん!この中に事件解決のヒントがあるはずなんだ!!」
事件は時と場所を選ばない。捜査の過程にそのヤマに関係のある事件が起こる事もある。
その場合体裁など考えてはいられない。ラブホテルでドアのこじ開け。そんなこともある。←神宮寺の心の叫び
熊野〔……よ、洋子君〕←熊野の心の叫び
第3話 ブラックジャック (風林火山:作)
熊野「こうやって二人で飲むのも久しぶりじゃなぁ、神宮寺君」
神宮寺「そういえば、そうだな。お互い、ここのところ忙しかったからね。ははは」
かすみ「うふふ、お二人とも楽しそう。お二人と私とで、ジョーカー当て、やってみません?」
神宮寺「そうだな、やってみるか……」
シャッ、シャッ、シャッ!←3枚のトランプがシャッフルされる音
かすみ「はいっ。さあ、どれにします?」
熊野「み、右じゃ!右!」
神宮寺「そうか…?真ん中だと思うんだが……」
熊野「いや、絶対に右に違いないっ!なんなら今日の飲み代、賭けてもいいぞ!」
神宮寺「…そこまで言うなら、熊さんを信じてみるよ。 かすみさん、右にしてくれ」
かすみ「うふふふ。は・ず・れ☆」
熊野「ふもっ!」
神宮寺「はははは、今日は熊さんのおごりだな。オレはジョーカー当てより、ブラックジャックの方が強いんだ」
かすみ「いいですよ」
シャッ、シャッ、シャッ!←ブラックジャック中の音
神宮寺「うむ。スタンドだ」
熊野〔ふもっ!?そのカードじゃ、普通はヒットじゃろ!?次はいいカードが来るかも知れんぞ…〕
熊野「じ、神宮寺君。ヒットした方が、いいんではないのかね?」←ヒソヒソ
神宮寺「そうかい?かすみさんの表情を見ると、強い数字じゃなさそうだが…」←ヒソヒソ
熊野〔まぁ、さっきの事もあるし、神宮寺君を信じてみるか……。〕
かすみ「うふふふ、残念でした」
神宮寺「強いね。表情に騙されたな。すまないが、もう一杯カミュを頼むよ」
かすみ「はい、ちょっとお待ち下さいね」
熊野〔ぬぬぬ。かすみさんが離れてるスキにわしだけ、こっそり見せてもらおう。
次のカードは、なんじゃったんじゃ?チラッ〕
熊野「……!! ぬおおおぉぉぉぉぉぉ!キーッ!」
神宮寺「……!? ど、どうしたんだ、熊さん!」
第4話 昼下がりの恐怖 (水本あずささん:作)
(ドアの開く音)
かすみ「あら、神宮寺さん。お早いですね」
神宮寺「ああ、尾行してきた男がそこのキャバレーに入ったんでね。一休みさせてもらうよ」
かすみ「じゃあ、アイスコーヒーでもお入れしましょうか」
神宮寺「ああ、頼む」
かすみ「今日は外は暑いでしょう。探偵のお仕事も楽じゃないですね」
神宮寺「まったくだよ。アイスコーヒー代も経費で落としたいぐらいだよ」
かすみ「ふふふ…」
俺は出されたアイスコーヒーを一息に飲み干す。ようやく体中の汗が引いていく。
かすみ「ところで、助手の洋子さん…でしたっけ?今日は何をなさってるんですか」
神宮寺「洋子君かい?実は今日、彼女にも尾行に出てもらってるんだ。」
彼女も今ごろ暑い思いをしていることだろう。俺がここでこんな涼しい思いをしていると知ったら…。
その時ドアが開いた。女性二人の話し声。まなみと、見覚えのある顔がある。
洋子「せんせい!?」
神宮寺「!?」
俺は再び背中から汗が噴き出すのを感じた。
やれやれ…。
ここ歌舞伎町では時折、想像を絶することが起こるようだ。
第5話 TOKIO (みすぼらしい男さん:作)
俺はタバコに火を点けた。
ここは新宿中央公園。
樹木の葉を見る事で、俺は一時的に心が安らぐ。
今は、その休息が必要だった。
何かあれば洋子君の方から何らかの連絡があるだろう。
子供の声「ねぇ、おじさん」
目を開けると、そこに少年が立っていた。
少年「おじさん、ちょっといい?」
返事をするまでに時間がかかってしまう。
神宮寺「……何だい?」
少年「暇なの?」
図星だった。
神宮寺「いや、忙しすぎて少し休んでたんだ」
少年「それにしては長い間タバコを吸ってるんだね」
神宮寺「……?」
少年「だって、そこの灰皿にタバコが沢山溜まってるよ」
少年「大体、マルボロなんてそんなにメジャーなタバコじゃないしさ」
神宮寺「そうかな」
少年「それに全部の吸い殻がほとんど同じ長さだし」
こいつ…。
神宮寺「まいったよ。暇をつぶしてたんだよ、俺は」
少年「やた!ぼくの推理もまんざらじゃないかな」
そしてその少年は笑って、
少年「からかってごめん!じゃあね!」
ん?俺は何かを拾い上げた。
洋子「先生!探しましたよ!」
神宮寺「ああ、洋子君か」
洋子「どうしたんです?その手帳…」
俺はタバコに火を点けた。
神宮寺「こんな大事な物を落としていくとは、探偵にはまだまだ……かな」
洋子「???」
その学生手帳には、先ほどの少年の写真と、横に「植野 時雄」という名前がしるしてあった。
第6話 命の時限爆弾 (風林火山、命の時限爆弾さん:合作)
助手の洋子君から電話があり、俺はこの東京湾の隅に位置するとあるバーに来ていた。
彼女と、ここで落ち合うことになっていたのだが、まだ来ていないようだ。
このバーは洋子君の話していたとおり、おシャレで雰囲気もいい店だった。
暗くてよく判らなかったが、店には常連客が数人とマスターが一人いた。
待ち合わせの時間は、もうとっくに過ぎているが、このバーは、なかなか居心地がいい。
水割りを一気に飲み干せば、時間を忘れさせてくれた。
同時に、朽ち果てた葉のような色の液体が揺れ、氷がグラスの中で、カランと音を立てた。
時計はもう23時をまわっていた。フッ、洋子君が時間に遅れるなんて珍しいな…。
マスター「じ、実は……」
神宮寺「……?マスター、どうしたんだ?」
何故か、突然マスターの顔がいくつも重なって見えだした。
……ん?いかん、もう酔っているのか……? と、その時だった!
俺は右足一本に体重をかけていたが、いきなり世界がぼやけ、そのまま崩れ落ちた。
うっ!!睡眠薬が入っていたのか!? し、しまった!
マスター「わ、悪く思わないでくれ!私は、ある連中に脅されてやっただけだ!」
ううっ……俺とした…こ……と…が……………。
薄れゆく意識の中、俺が最後に見たものは、7人もの人影に囲まれている自分の姿だった―――。
神宮寺「……、………、……夢か? ……ここは?」
どのくらい眠っていたのかは全く判らないが、俺はゆっくりと目を覚ました。
パーーーーン! パーーン!←クラッカーの音
美貴「お誕生日、おっめでとうーっ!!」
まなみ「冴えない探偵さん!おめでとう!」
かすみ「こらっ、まなみっ! 神宮寺さん、お誕生日おめでとうございます!」
三好「わーいっ!おめでとうー!」
与野「神宮寺さん、おめでとう!」
洋子「先生、お誕生日おめでとうございます。ハイ!これは、みんなからのプレゼントです」
熊野「わはは、驚いたじゃろ? ここにいる、みんなで計画したんじゃ。睡眠薬は、わしと三好のアイデアじゃぞ」
……。か、勘弁してくれよ、熊さん…。それに洋子まで…。
第7話 哀愁の熊さん (かよぺさん:作)
(ドアの開く音)
熊野「神宮寺君、疲れた。ちょっと一休みさせてもらうよ。」
神宮寺「熊さんも相変わらずだね。」
洋子「コーヒーでも入れましょうか?」
熊野「ん、もらおうか。いつも有り難う。洋子君の入れてくれるコーヒーが一番だな。ワッハッハ」
洋子「ま、熊野さんったら」
神宮寺「聞き込みかい?」
熊野「いや、なに、ちょっと捜し物でね。あちこち探し回ったんだが、見つからなかったよ。ハハハ」
神宮寺「気になる言い方だなぁ。何を探してたんだい?」
熊野「いや、その……。」
神宮寺「ふっ。俺と熊さんの仲じゃないか。何を探してたんだい?」
熊野「あっ!ここにあるじゃないか!ワシのさし歯……」
熊野〔ハッ、つい口に出してしまったぞ。洋子君はどう思うかワシは恥ずかしいぃぃぃぃ。〕
− 沈 黙 −
神宮寺「熊さんのだったのか。俺のかと思って口に入れるところだったよ。」
洋子「……。せ、先生…。」
熊野〔うっ、洋子君に見られてしまった…〕
−熊野の背中に哀愁が漂う。−
第8話 ケーキ (綾瀬雅さん:作)
久しぶりに太陽が顔を見せている、ある日の昼下がり―――。
熊野「やっと天気になったのぉ。今までかかっていたヤマも片付いたことだし、
神宮寺君の所にでも行ってみるとするか」
そうつぶやくと、熊野は神宮寺探偵事務所へと向かった。
ガチャッ。
熊野「よう、お二人さん」
洋子「あら熊野さん、いらっしゃい」
神宮寺「なんだ、熊さんじゃないか」
熊野「なんだはないだろう。人がせっかく来たって言うのに……」
神宮寺「まあ、そう言うなよ。いいタイミングだと思ってね、なあ、洋子君」
洋子「そうですね、先生。実は、今からお茶にしようかって話していたんですよ」
熊野「お茶に? そう言われれば、何やらいいにおいが……」
熊野がテーブルを見ると、そこにはいかにも手作り風の可愛いらしいケーキが置いてあった。
熊野〔さては、洋子くんが作って来たんじゃな。洋子君の手作りか……わしもいい時に来たもんだ〕
洋子「今、紅茶を入れますから、良かったら先に召し上がってください。お手製ですよ」
熊野「おお、ではさっそく」
熊野が、ケーキを一つ手にすると、続いて神宮寺も手を伸ばした。そこへ、洋子が
紅茶を入れて戻ってきた。
熊野「モグモグ。おぉ、うまい!今まで食べた中でも一番の味じゃ。なあ、神宮寺君」
神宮寺「うん、なかなかいい味だ」
熊野「洋子君、すばらしいよ。これなら店も開けるぞ」
洋子「本当ですか? じゃあ、私も一つ……」
熊野「いつもこんなものが食べられるなんて、神宮寺君が羨ましいよ。わしと代わってほしいくらいじゃよ」
洋子「まあ、熊野さんたら。そんなに喜んでもらえるなんて、彼女も喜びますよ、きっと」
熊野(ん? 彼女じゃと? まさか……)
神宮寺「そうだな。今度店に寄った時にでも伝えとくとするかな……よしえさんに」
洋子「この間ちょっとした依頼を解決したお礼だって、さっきよしえさんが持ってきて……」
その後の洋子の言葉は、熊野の耳には届かなかった。
第9話 六番目の憂鬱 (みすぼらしい男さん:作)
その日は、憂鬱になる要因が多かった。
季節外れの激しい雨、机の上の未整理の書類、
切れたマルボロを買いに行こうにも傘は洋子君が持って出たきりだ。
しかし、もっとも俺の心の中に大きくあったのは、昨日まで関わっていた事件の事だった。
依頼者は若い母子だった。内容は失踪した夫を捜すというものだったが、結果は初めから予想がついた。
それがどんなに酷な事であっても、いずれは話さねばならない。
神宮寺「待ってくれている家族がいるってのにな……」
事務所の扉を叩く音が。
洋子君にしては戻るのが早すぎるな。
女「こちら、探偵事務所ですよね」
神宮寺「ああ、そうですが。ご依頼ですか?」
女「ええ、っまあ、そのようなそうでないような……」
神宮寺「?」
女「私を助手として雇って欲しいんです」
神宮寺「!……いや、うちには既に助手はいて」
女「何でもしますから使って下さい」
女はそういって詰め寄ってきた。きつい香水の香りが鼻をつく。
これでは部屋中がこの香りで充満するのも早いだろう。
神宮寺「君の態度には無理が有る。何か訳がありそうだな」
女「!」
……彼女はどうやらほとんど所持金を持っていない様だ。
といって、別に犯罪に巻き込まれたのではなく、彼女自身の浪費に問題があるようだった。
俺は財布から交通費になるだけをとりだすと、彼女に手渡す。
神宮寺「とりあえずはこれで足りるだろう」
女「すみません。バイトも何も見つけられなくって……」
神宮寺「どうでもいいが、あまり身の危険を呼ぶ真似はしない方がいいな」
女「ご迷惑をおかけしました」
部屋を出て行く彼女を見送ると、俺は灰皿から吸い殻を取り出し火を点けた。
彼女の場合は冗談で済んだが、この街にはそんな人々を狙うヤツらはいくらもいる。
そう思うと、すべての問題が解決した気にはなれなかった。
憂鬱な日には憂鬱な事が重なるものだ。
再び扉が開く。
神宮寺「ああ、洋子君。早かったね」
洋子「今そこで女性にすれ違いましたけど、依頼者の方だったんですか?」
神宮寺「ええっ、っまあ、そのようなそうでないような……。」
洋子君の顔に硬い笑みが浮かぶ。
洋子「頼んでおいた書類は手付かずの様ですし、ゆっくりご説明頂けます?」
神宮寺「……」
それが、その日の六番目の憂鬱だった。
第10話 美貴クイズ (スクリュードライバーさん:作)
そろそろ肌寒く感じられるようになったある日の午後……。
永田美貴は久しぶりに神宮寺探偵事務所を訪れた。
美貴「おじゃましまぁす」
洋子「あら、美貴ちゃん。いらっしゃい」
神宮寺「久しぶりだなぁ」
熊野「おお、美貴ちゃんか。外は寒くなかったかい?」
美貴「うん、大丈夫」
神宮寺「今日は何かあったのかい?もっとも、用もなく来る人もいるがね」
熊野「ぶほっ」(飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになる熊野)
美貴「あっそうそう、神宮寺さん達に教えることがあったんだ」
神宮寺「何だい?」
美貴「この前、予備校の友達に聞いたんだけど『日本の名探偵の共通点』って知ってる?」
神宮寺「なんだろうなぁ。洋子君や熊さんは解かるかい?」
一様に首を振る二人。誰一人として解らないようだ。
美貴「答えは……」
熊野「待った!たのむ、ヒントをくれんか?」
美貴「う〜ん。ヒントはねぇ……名前かなっ?」
熊野「なんじゃ?余計に解からなくなったのぅ」
………しばらくは粘ったようだが、やはり誰も解からない。
美貴「5、4、3、2、1、0。はい、答え。『苗字は珍しいのに、名前が平凡』ってコト」
熊野「う〜ん、そうかのぉ?」
美貴「ほら、金田一耕介、明智小五郎、古畑任三郎、黒須剣……そして、神宮寺三郎!」
熊野「わはははは、神宮寺君もか。こりゃ一本取られたわい」
洋子「うふふ、本当ですね」
神宮寺「ははは、それは光栄だな。…だったら洋子君も名探偵の素質ありだな」
洋子「どうしてですか?先生」
美貴「あっそれはっ……」(一人あわてる美貴)
神宮寺「苗字は御苑で珍しく、名前は洋子で平凡……」
洋子「……。もうっ!知りませんっ」
洋子はキッチンの方へ行ってしまった。
神宮寺「お、おいおい洋子君!……しまった。喜んでくれると思ったんだが」
あわてて弁解にいく神宮寺。
美貴「あ〜ぁ。そんなことじゃ本当に洋子さんに独立されちゃうよ。ねぇ熊野さん?」
熊野「……参造はどうかの?」
美貴「え?」
第11話 意地っぱり再び (風林火山:作)
コマ劇場前で、麻薬を売りさばく外国人の後をつけ、俺は尾行を開始した。
最初は、しばらく歩いていた売人だったが、男は突然走り出した!!
神宮寺「うっ、見失ってはいかん!!」
側に捨ててあったブレーキの無い自転車を拾い上げ追いかけようとしたが、
その瞬間、俺の右肩に背後から手を伸ばし、阻止した男がいた。
石塚「おい!待て、探偵。その自転車は、この俺が使う」
その男は、警視の石塚だった。
神宮寺「何を言ってる!? この自転車を見つけたのは俺だ!!」
石塚「何だと、貴様……。以前こうなった時は、貴様にバイクを譲ったろうが!!」
神宮寺「今はそんなことを言い争ってる場合じゃないだろう!!」
石塚「へっ、うまく逃げやがったな。探偵は、探偵らしく浮気調査でもしてるんだな」
神宮寺「(プチ)……もう一度言ってみろ……」
石塚「おっと、この俺に指一本触れでもしたら、即、公妨(公務執行妨害)で逮捕だぞ」
神宮寺「……(こいつ……)」
通行人「あのー。ちょっと、お二人さん」
神宮寺&石塚「何だ!!(怒)」
通行人「もう誰もいないッスよ」
神宮寺&石塚「あ」
第12話 Darling (みすぼらしい男さん:作)
美貴「神宮寺さん、ちょっと相談があるんです」
不況のあおりをうけて、という訳でもないのだが、今日最初の客は永田美貴だった。
彼女の服装はいつもユニークなのだが、今日は個性的、というのを超えて奇抜になっている。
毛皮めいた衣装は、まるで仮装パーティーから逃げてきたイタチの様だった。
美貴「今予備校に通ってて、最近すごく仲良くなったコがいるんですけど、その子が最近変なんですよお」
神宮寺「というと?」
美貴「なんか、私と同じ格好をしてるんですよ。ブランドとか、色の使い方も。たまにまったく同じ服でばったり、てこともあって」
同じ格好?イタチみたいな…か?
美貴「私何だか気味悪くって。いっそ真似出来ない格好してやれ、ってこんな」
神宮寺「なるほど…ところで、予備校は何時ぐらいに終わるんだい?」
美貴「え?ああ、みんな違うけど、私とその子は7時くらいには帰るかなあ」
神宮寺「だったら、そのお洒落した格好を見せたい相手が予備校の外にいるんだろう」
美貴「あ」
神宮寺「美貴ちゃんを知る予備校の仲間には同じ格好をしている事が判るから不自然に思うだろうけど、
それを知らない人なら個性的な服装だと思うだろう。予備校が終わってから遊びに行く予定だったんじゃないのかな」
美貴「そっかー。言われてみれば思い当たるな…、ったく、浪人生のくせに恋愛にうつつを抜かすとは生意気な」
自分だって浪人生だろうに…
…っと、奥からコーヒーを入れ終えた洋子君がトレイを持って話に加わった。
洋子「美貴ちゃん、最近よく顔出してくれるのはうれしいけど、勉強ははかどってるの?」
美貴「ぎくっ。いやー…たまにはほら、息抜きを…」
洋子「遊ぶなとは言わないけど、どうせなら大学に入ってからの方がいいんじゃない?」
美貴「洋子さんみたいにー?」
洋子「わ、わたしは真面目だったわよ…、ねえ、先生」
…ねえ、って言われても…なあ。
俺がタバコに火を点けて黙秘を決め込むと、二人は顔を見合わせて同時に吹き出した…。
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